2019年度基盤研究(B) 19H01231
江戸後期の文化・芸能におけるパトロネージュ構造の解明:吉原を中心にして
代表研究者 実践女子大学文芸資料研究所 日比谷孟俊

はじめに

洋の東西を問わず,文化の花が開くとき,そこにはパトロネージュの存在があります.図に示すように,江戸における個々の文化の中心にあって,それらを結びつけていたのがパトロンでした.江戸文化のパトロネージュについては,未解明な部分が残されています.ここでは,江戸後期,特に吉原にも着目し,ジャンル と パトロンの社会階層とをマトリクス的に捉え,総合的に研究を進めることを試みました.

新型コロナウイルス感染症の蔓延により,その遂行に影響も見られましたが,参加メンバーのアイデアと努力により,着実に成果が挙りつつあります.
本サイトでは共同研究への参加者を紹介し,研究発表会記録を報告します.

「新吉原江戸町一丁目和泉屋平左衛門花川戸仮宅図」。楼主が描かれ,入銀によることが明らかな絵。

「江戸文化のジャンル」(X軸)と,それを支えた「パトロンの社会階層」(Y軸)
とのマトリクスとして研究ターゲットを捉えました.研究の進行過程において,
XY 平面に直交する Z 軸として「科学的視点」を取り上げました.文理融合のアプローチが明確になりました.浮世絵に使われた色材,黄表紙などの出版物に用いられた紙の研究や,填料としてのコメ澱粉粒の観察法の確立などへの展開です.当初,予想もしなかった課題が遊女絵の「ちりめん絵」の出現でした.制作にはパトロンが関わったことが予想され,その製造工程の解明には,理系的アプローチが求められました.

研究分担者・協力者紹介

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