多田文夫 研究協力者(足立区立郷土博物館)

・足立区内に眠る文化財を調査研究し,企画展を開催しています.
・足立区の旧家に保存されている美術品を調べている.文化財を保有する旧家は,徳川幕府成立時期に主家を失い牢人となり,草切百姓として新田開発にかかわった「在村武士」としての性格を有する家が多いことが分かってきました.
・通婚圏を形成し,文化圏を共有していることを明らかにし,成果を数回におよぶ企画展示において紹介しています.
・日比谷健次郎と加藤翠渓が明治10年に.刊行した『和獨對譯字林』に注目し,その出版経緯を調査しています.日本で最初に刊行された和独辞書です.
・『和獨對譯字林』の校訂を行った Rudolf Lehmann について調査を行い,北ドイツ Oldenburg 出身のお雇いドイツ人であることを明らかにしました.兄の Carl は戊辰戦争に際し, 新潟港経由で会津藩に大砲や銃などの武器を売っていました.

・『和獨對譯字林』の出版経緯を調べることを通じ,幕末から維新の時期において,薩長(英)と幕府(仏)のみならず,奥羽列藩同盟を支援したプロイセン(ドイツ)の存在を改めて炙り出すことができました.

『和獨對譯字林』出版の経緯を示す文書

京都滞在の日比谷健次郎にあてた,明治7年(1874)7月25日付の妻 順からの手紙.
『和獨對譯字林』の校訂者 (R. Lehmann) が決まったことに祝意を伝えている.
辞書校訂者R. Lehmann(1842~1912)

これまでに企画した主な展覧会

・ 文化遺産調査特別展『名家のかがやき- 近郊郷士の美と文芸』2020年11月.
・ 文化遺産調査特別展『大千住 美の系譜 – 酒井抱一から岡倉天心まで- 』2018年10月.
・『浪人たちのフロンティア –村と町の開発と浪人由緒 – 』2011年10月.
・『幕末が生んだ遺産 -夜明けを駆け抜けた地域の群像- 』2004年10月.

足立史談

・多田文夫「大久保家資料の紹介② 紙屋の地漉紙問屋株 その1」『足立史談』 661号,2023年3月.
・多田文夫「大久保家資料の紹介①千住宿400年の始まりを伝える」『足立史談』660号,2023年2月.
・多田文夫「ルドルフ・レーマンに出会う旅② レーマン兄弟と京都」『足立史談』658号,2022年12月.
・多田文夫「ルドルフ・レーマンに出会う旅① 日比谷健次郎の京都滞在 -」『足立史談』651号,2022年12月.

論文

・ 多田文夫,「伊奈氏の新田開発と除地設定について – 武蔵国東部を事例として -」,『関東近世史研究』第44号,pp.1-22, 1999年.

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